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2000/10/27

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2000/10/27 (金)

ゲームの音

_ 現状の音の提供方法には満足がいかない。BGMだけでなく、もっと環境音や効果音に力を注ぐべきだ、という意見を考えるために、ゲーム以外のサウンドを実際に調べてみることにする。・・・というのが、ゲームの音について「後日」とした理由・・・一度ちゃんと調べてみたかったのだ^^;。

_ ネタをどれにしようか考えていたのだが・・・ちょうどいいのでこのCDからサンプリングしてみることにする。最初はさくらの第1話でも使おうかと考えていたのだが、まぁこれでもいいだろう。

_ というわけで、結果はこちら。疲れた・・・^^;。

_ 曲(MU)が10曲を13回演奏して約39分。環境音(EN)が40回で延べ約47分。効果音(SE)が125回。ただし戦闘時の効果音は1シーケンスで1回としか数えていない。加工前のソースデータをすべてCDクオリティで準備すれば、CD2枚分くらいの量になるだろう。

_ なお、このリソース量で全部だと思ってはいけない。Kanonならこれを5シナリオ分用意しなければならない。使いまわしの分を考えれば、全体では2〜3倍の量になる・・・CD5〜6枚分ということだ。

_ さて、これを実際にゲーム方式で再現することを考えてみる。ここではメディアによる手法の違いを考えないことにするので、実際のゲーム作成には必ずしも当てはまらないことに注意してほしい。

_ まずBGMの時間算出をしてみる。今回のサンプルでは曲は20〜30曲、時間にして80分〜120分ということになってしまう。今回はサンプルが偏っていて14分30秒なんて曲があるからいけない。平均的にならしたとすればこの曲数なら半分の40〜60分程度のはずだ。実際に、Kanonでは22曲で約40分である。

_ 続いて環境音の時間算出。1シナリオで40回と出たが、使い回しをすると考えれば30個もあれば十分、トータル47分ある時間もループを使えば1つ30〜60秒として15〜30分くらいあれば済むだろう。また各シナリオで3/4の効果音は使い回しがきくとみれば、使用量は8/4=2倍程度で、30〜60分あればいい。WAVデータで持つなら、22k16bit2chに変換すれば1データ2.5〜5MB×60個=150〜300MBになる。

_ 最後に効果音の時間算出。125回から重複分を除けば約80、「使い回し3/4」をもう一度使えば160くらいあればいいことになる。アクションゲーム1つで40や50の効果音があることを考えればそれほどバカバカしくない数値のはず。1つあたり長さ8秒として1280秒=約21分、22kのADPCMで妥協するとすれば、合計で32MBもあれば足りることになる。ハイクオリティ志向で22k16bit1chだとしても128MBもあれば十分だ。

_ 以上から考えると、CD1枚に全部のソースデータを納めることは不可能ではない。CD2枚組のゲームは今や普通だから、いけそうな気がしてくるかもしれない。

_ んが、甘い。これらをすべてメモリ上に配置してミキシング再生することが可能なら、いけるだろう。逆にいえばそうでなければ難しい。まぁ効果音はそれほど難しくないだろうが、やはり問題は環境音だ。最低常に1つの環境音WAVファイルをメモリ上に置き、効果音とミキシングして演奏させなければならない。WinMeやWin2kが快適に動く環境ならこれを満たすことは難しくもなんともないが、かといって簡単というわけでもないことはよく知っているだろう。

_ コンシューマ機ならミキシングの問題は解決されるが、今度はそれだけのサウンドデータを置けるメモリがないという問題がある。またHDDがなくすべてCDなりDVDなりから読まなければならないという問題もある。

_ さて、さっき「1ゲーム20〜30曲」と書いたが、実はそもそもこの前提が正しいかどうか考えてみなければならない。まわりを見渡してみれば・・・2時間の映画で十数曲使うことは珍しくないし、トータルで10時間くらいになる2クールのアニメなら50〜60曲作るのはごく普通だ。身近な例を挙げれば・・・「カードキャプターさくら」はCD化されているだけでTV版が100曲以上、映画版は2つで60曲以上が作られている。TV版は未収録バリエーションもあるだろうから、この数では足りないはずだ。

_ では、「さくら」でどのBGMをどのシーンに使ったか、逆にどのシーンでどの曲を使ったか覚えているだろうか。実はTVアニメの場合は何度も同じシチュエーションで同じ曲を使うのですぐ覚えてしまう。じゃ劇場版サントラの60曲をどのシーンで使ったか、逆に各シーンでどの曲を使ったかを思い出せるだろうか。実はシーンと曲が1対1対応しているのでかなり覚えられる、というか覚えなくてもなんとなくわかってしまう。

_ ゲームはどうだろうか。ONEにせよKanonにせよAIRにせよ、さっきの「さくら」の視聴時間に対する音楽量と比較してみれば、「異なるシーンなのに別のBGMを用意できない」状況が多すぎないだろうか。結果として個々のシーンに対するBGMの記憶が薄まってしまう。使い回すために「使えるシチュエーションに幅を持たせる」手法をとったためにシーンと結びつけて覚えられないのではないだろうか。

_ これらのゲームのプレイ時間がどのくらいかということを考えれば、Kanonが22曲でおさめているというのはかなり「やりくり上手」と思えたりする。本当は環境音や効果音どころかもっとBGMに注ぎたいんじゃないかと思うわけで。そんな状況で実際のゲーム業界全体を見回してみれば、正直いって「今以上に環境音や効果音に力を注げ」というのは難しいかもしれない。いや、だからって逃げ口上にしていいというわけでもないけど。実際AIRは環境音に力を注いで成果をおさめたわけだからして。

_ あとは使い回すための曲作りのやり方。例えば東鳩だと「キャラ」「時間」「場所」「場の雰囲気」「感情」で簡単にBGMの分類ができて、ストーリーとは直接関係がなくても舞台の大まかな設定だけで簡単に曲が引けてしまうようになっているのに気付くと思う。覚えやすい反面、逆に「読者がストーリーを読む時の気分が曲によって決められてしまう」という主従逆転状態になってしまう危険を孕んでいる。それを防ぐために「楽曲群全体に協調性を持たせることで個々の曲が持つ個性をうまく薄める」という作業が必要で、そのために「各曲に音楽上の関連性を持たせる」とか「1つの曲からいくつもバリエーションを用意する」とか「共通モチーフを設定する」とかの手法がある。

_ そもそもBGMなんて本来は「従」であり*1、覚えられてしまうということは「従」としての役目を果たせていないんじゃないかという疑問もある。

*1: 全部が「従」であれということではない。BGM主導であるべきことも多々ある。例えば数々の「お約束」がBGMをキーに発動していることは少なくない。





メールはこちらへ...[後藤浩昭 / Hiroaki GOTO / GORRY / gorry@hauN.org]

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