PS2およびPS3をD端子(YCbCr出力)経由で32ZP57およびPV3に接続する。ソフトウェア起動後、ディスプレイは直接目視および撮影、PV3は適切なタイミングで720x480x24bitBMP形式にて静止画キャプチャを行い、それを比較した。
PV3のキャプチャ画像は、Y:Cb:Crサンプリング比が4:2:2であるように見える。そのため、横方向は多少色解像度が低下していることはご了承願いたい。
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"C"や"O"の文字のカーブの部分に注目してほしい。
画像1: PS2 |
画像2: PS3(D1) |
画像3: PS2 |
画像4: PS3(D1) |
これは、観察結果のみによる当方の推測である。実際のハードウェア構成はまったく見ていないし、PS3についての知識があるわけでもないので、正しくない考察を行っている可能性があることに注意。
SD解像度で映像の表示を行う場合、一般的には横解像度が720ピクセル(オーバースキャン)であるとされている。これは、「1ライン中に状態の変更が720回発生する」ということである。
このソフトウェアは、PS2では横解像度を512ピクセル(オーバースキャン部を含めると576ピクセル)にして出力している。つまり、同じように考えると、「1ライン中に状態の変更が576回発生する」ということである。
「PLAYSTATION3におけるPlayStation2ゲーム画像の比較(1)」で考察したように、PS3ではGSの映像信号をサンプリングしてRSXに展開しているものと思われる。この機能で、もし「GSの横解像度が512ピクセルのときに、RSXが横解像度640ピクセルでサンプリングする」としたらどうなるだろうか。おそらく以下のようになるはずである。
画像5: 横解像度512ピクセルの画像を 横解像度640ピクセルでサンプリング |
そしてこの推測は、図らずも「PV3のキャプチャ結果」(画像3)が見事に証明している。PS2の出力をPV3でキャプチャした結果には、滑らかでない部分が発生しているのである。PS3の内部でも、この「PV3でのキャプチャ結果」と同じ現象が発生しているとすれば、同じような結果になるのは明らかだ。
「解像度の変換時に補間していないのが原因である。きちんと補間すればよいではないか」という意見があるだろうが、これも簡単ではない。
画像6: 横解像度512ピクセルの画像を 横解像度640ピクセルで補間つきサンプリング |
ゲーム画像は、エッジのくっきりとした絵が多い。このような画像を「512→640」のような近い値で補間拡大すると、その結果はすっきりとしたものではなく「滲み」として現れてしまう。ちなみに上の例はlanczos3法による補間結果だが、他の方法でも大差はない。
余談だが、この話はPS3だけにとどまらない。PS2の映像を液晶ディスプレイで表示させたとき、PS3での表示と全く同じ現象が発生しているかもしれないのである。
たとえば15インチ程度の液晶テレビの場合、その解像度は640x480ピクセルのものが多い。このような液晶で横解像度512ピクセルのゲームを表示させると、PS3で表示させたときと同じように「横512ピクセルの画像を640ピクセルに変換」しなければならないためである。
「もっと解像度の高い液晶ディスプレイならきちんと補間して表示される」と思われるかもしれないが、実際はそうとは限らない。その液晶ディスプレイは、PV3と同じように「PS2の映像をなめらかでない画像としてサンプリング」してしまったものを拡大しているかもしれないのである。
これらを回避するには、4倍〜8倍程度の解像度でサンプリングしてから縮小補間を行う「オーバーサンプリング」を行えばよい。ただし、この機能は通常のテレビやビデオ映像を観るときには必ずしも必要なものではないため、最近のコストダウンの激しい「安価な液晶ディスプレイ」では搭載を見送っているケースがあるかもしれない。