7.1. はじめに


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SMCは、MML(Music Macro Language)をSMF(Standard MIDI File)にコンバートするためのプログラムです。(SMFは、ファイル名で.MIDというサフィックスが用いられているので、以降「SMF」のことを「MIDファイル」と表記します。)

MMLとは、演奏に必要な情報(音階情報から様々なコントロール情報に至るまで)を比較的わかりやすいかたちでシンボル化(マクロ化)し、そのシンボルを用いて演奏データを記述する形式のことをいいます。その名が示すように、一種の言語のようなものです。

マイコンベーシックマガジンのザ・ゲームミュージックプログラムコーナーの読者の方には、すっかりなじみの入力形式だと思います。しかし、筆者の知るところによると、元々MMLはBASICでコンピュータ内蔵の音源をドライブするための方法として考案されたものなので、コンピュータミュージックの世界においての認知度はほとんど皆無に等しいというのが現状と思われます。

MIDIによって外部の楽器を鳴らす場合、楽器に対して送信されるMIDIメッセージが重要なのであり、MIDIメッセージを送信する側が何であるかはそれほど重要ではありません。今までは専用のシーケンサーがその役割を担っていましたが、最近はコンピュータが大活躍しています。各機種ごとにシーケンスソフトが発売されてますし、フリーのシーケンスソフトも出回っています。

MIDファイルはMIDI規格ではありませんが、世界規模の規格と考えても差し支えないと思われます。MIDファイルをシーケンスデータとして取り扱うことのできるソフトは多くの機種に存在するので、送信側の機種依存性は取り払われつつあるのが現状です。

マイコンベーシックマガジン誌上でMIDファイルが扱えれば、さらに投稿者層もひろがる可能性は大いにあるわけですが、MIDファイルのダンプデータを掲載するわけにもいきません。そこで、MMLからMIDファイルへのコンバートシステムの登場という次第であります。MMLはテキストベースですから、一言でいえば「テキスト・バイナリ変換」がシステムの全てになります。このシンプルな構成こそ、多機種に共通のコンバートシステムの提供を可能とする最大の要因といっても過言ではありません。

時代に逆行しているとも思われがちなMMLですが、一体どのような性格を持ったものなのかを考えてみます。MMLはステップ入力(数値入力)とは異なり、細部のデータを編集するのは苦手です。演奏上の微妙なニュアンスをMMLで表現することは可能ですが、多大な労力をともないます。しかし、既にMMLに慣れ親しんでいる人でしたら、まず基本となるデータをMMLで入力し、MIDファイルに変換した後でステップエディタなどで細部の修正を行う、といったプロセスが考えられます。二度手間のように思われるかも知れませんが、基本となるデータが確定してしまえば、MMLをいじる必要はほとんど無いでしょう。また、テンプレートとなるようなファイルを用意しておけば、ちょっとしたフレーズを打ち込んでみたい時には簡単に試すことができます。

基本的に、ステップエディタで生成できるMIDファイルと、SMCで生成できるMIDファイルは等価です。SMCを用いることによって、特定の機能が扱えなくなる、といったことはありません。

以下より、SMCを用いてMMLでMIDファイルを作る時のコツを解説させていただきます。皆さんがSMCを利用する際の参考になれば幸いです。ターゲットとなる音源はローランドSC-55です。

なお、SMCを利用する上での基本的なことがらはリファレンスマニュアルを参照して下さい。


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