Last update: Saturday, 04-Jun-2011 17:28:47 JST |
_ AT-X e2スクイーズ化から1週間。特に変化があるわけではないが、画質に関するちょっと興味深いデータを出してみる。
エアラジオ#84 |
エアラジオ#86 |
エアラジオ#91 |
エアラジオ#108 |
_ AT-X名物番組であるところの「金田朋子と保村真のエアラジオに毛が生えた?!」の録画4話分より、全く同じ画像のフレームを抜き出してみた。なお、背景は動いているが、文字は最後の句点(。)を除き、すべて静止している。逆にいえば、「背景と最後の句点(。)は動体」ということ。
_ いずれも録画条件は全く同じだが、違うのは以下の点。
_ 4枚を部分拡大したものをアニメーションさせると、こうなる。
比較用部分拡大 |
_ 1枚目、何もされていない完全な状態。文字のエッジが最も立っている。
_ 2枚目、ここで縦方向にぼかしが入るようになった。恐らくアプコン前段のローパスフィルタによるもの。横方向にはほとんど変化がないことにも注意。
_ 3枚目、ここでの注目は「位置が1ドット下がったこと」と「句点(。)の頂点部の形が変化したこと」。1つめは「ソースそのままの画像ではなくなった」ことを示している。2つめは「解像度変換とI/P変換による変形が発生した」ことを示している。また、ここでも横方向にはほとんど変化がないことにも注意する点で、「2倍に拡大→1/2に縮小」では隣とのピクセルとの混じり合いがほとんど発生しないアルゴリズムが使われていることになる。
_ 4枚目。ここで初めて横方向にも変化が発生している。これは「スクイーズ化により縮小がかかった」ものを後処理で引き伸ばしたために起こったもの。
#84 FFT |
#108 FFT |
_ この図は、最初と最後の画像をそれぞれfftspectrumで解析してみたもの。黒地に白い点が周波数分布で、中心から離れるほど高い周波数(=高解像度)の情報があることを示している。赤いマス目が100pxで、全体が真っ白になると720x480pxの解像度情報が存在していることになる。上の赤グラフと左の青グラフは、ここでは無視していい。*1
_ まず、#84のほうは500x400px程度の楕円状に最初のピークがあるが、その外にも大きく広がっている。この広がった部分が文字のエッジの鮮明さを示している。
_ 対して#108。500x300px程度の楕円でざっくりと切られ、その外はかなり薄くなっている。横方向はスクイーズ映像から中央540px分を切り出して引き伸ばしを行ったため、実質540pxあたりでローパスフィルタをかけたのと同じ結果になったことによるもの。縦方向は度重なる変換処理で情報が失われてしまったことによるものである。
_ 以上、先週の論をデータで実証してみた。ただこれをもってAT-Xに「画質が下がったから何とかしろ」とか言ってもあんまり意味のあることではないと思う。高画質で観たければHDで観ろというだけのこと。*2
*2:
ただ、#86の画像で示されている「アプコン前段のローパスフィルタ」は300本程度に落とされてしまっており、設定が低すぎると思う。地デジなどでも同様のローパスがかかっているが、だいたい縦400本程度になるように調整されている。
手羽大根とおから炒り煮 |
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